高松高等裁判所 昭和45年(ラ)10号 決定 1970年5月20日
原告 復興金融株式会社
右代表者代表取締役 谷田保一
被告 株式会社樋口屋呉服店
右代表者清算人 新田俊雄
<ほか二名>
和解参加人 樋口商事株式会社
右代表者清算人 新田俊雄
<ほか二名>
主文
原決定を取消す。
松山地方裁判所今治支部昭和三九年(ワ)第二八号約束手形金請求事件について昭和三九年九月一九日成立した和解調書中、和解条項の一の3に「昭和四七年一月迄」とあるのを「昭和四五年一月迄」と、同じく4に「昭和四七年二月末日限り」とあるのを「昭和四五年二月末日限り」と各更正する。
更正決定申立費用はすべて相手方復興金融株式会社の負担とする。
理由
抗告人らは主文第一、二項同旨の決定を求めた。
松山地方裁判所今治支部昭和三九年(ワ)第二八号約束手形金請求事件の訴訟記録によると、本件和解調書に記載された請求および和解条項は別紙のとおりであることが認められる。
ところで、その和解条項の一の3のように「昭和四二年一月以降昭和四七年一月迄毎月末日限り金五万円宛」支払い、またその項の4のように「昭和四七年二月末日限り金四万五千円」支払うべきものとするときは、その項の1、2の分割金と合わせると、合計金三二五万円に達し、その前段において参加人や被告らが支払義務を認めた金二〇五万円と相容れない。そればかりでなく、和解条項の四の「原告のその余の請求を放棄する」との条項を入れた点や利害関係人として株式会社苅山呉服店を債務者側に参加させた点などもあまり意味がないことになる。なお、右訴訟事件の原告が、当該手形債権およびこれに附帯する損害金債権以外の別箇の債権を有していたことを窺うべき資料は全くない。而して、前記4の条項が分割金の端数の支払を約さしめた条項であること(このことは前後の関係上明らかである)を考慮すれば、右和解条項の3、4の「昭和四七年」とあるのは「昭和四五年」の誤謬であることは疑いの余地がないといわなければならない。
そうだとすると、本件和解調書には違算に類する明白なる誤謬があるというべく、原決定は不当であるからこれを取消し、申立のとおりに更正することとし、更正決定申立費用の負担について民事訴訟法第八九条第九六条を適用の上、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 橘盛行 裁判官 今中道信 蒔原弘道)